雨と電車とチョコレート
きっとこれは、神様が渡すなって言ってるんだ。
そうだ。
きっと、そうなんだ。
渡しても、傷つくだけだったのかな……。
なんて考えているうちに、昇降口に辿り着いた。
「……わ。すご……」
思わず、呟いた。
上履きの入った靴箱に、溢れんばかりの、いや、もはや溢れているラッピングさ
れた箱やら袋やらが押し込まれた靴箱がひとつだけある。
「もう帰ってるのに……」
自嘲気味に笑った。
こんな人に私が告白しても、上手くいくはずないよね……。
だって、学校のアイドル的存在だもん。
いつだって、爽やかで。
誰にでも優しくて。
ちょっとだけ、天然で。
サッカーしてる姿が、すっごくカッコいいんだ。
あまり男子とは話せない性格の私にも、いつも話しかけてくれる。
「おはよう」って初めて挨拶してくれたとき、心臓が飛び出るくらい驚いたっけ。
なんで、学校のアイドルが、私なんかに、って。