TABOO Ⅷ~彼の腕の中~
「痛い…」
渡り廊下の途中でそう訴えると、強く握られたままだった腕がようやく解放された。
「簡単に男に近付くなよ」
「近付くって、ただシュートの…」
その低い声に反論しようとしたあたしに、溜息が落とされる。
「なんでそんなに鈍感なんだよ」
「鈍感ってなによ」
「鈍感は鈍感だろ、バーカ」
さすがにムッとしたけど、何も言い返せなかった。
気が付いたら彼の腕の中だったから…