私と君の7日間
「しゅ~ん」
「あ、姉ちゃん!」
俊は私を見つけると近づいてきた。
弟の俊は野球をしている。
こんな暑い中、打って取っての繰り返し。
よくやるもんだ。
私なら絶対無理。
「どうたの?」
「お弁当」
「わっ、ありがと!
助かったよ、今日は昼なしかと…」
「持ってくるのめんどくさかったんだから、今度からはちゃんと持って行ってよ?」
「わかってるって!」
私からお弁当を受けとる俊は、汗をかきながらも嬉しそうに笑っていた。
「じゃ、私帰るね」
「うん、ありがとー!」
手を振って俊と別れる。
さ、これでまたゆっくりできるぞっと!
そう思いながら歩いていると、チリーンとどこからか鈴の音がした。
キョロキョロと周りを見渡してみる。
するとまたチリーンと音がした。
「…この上?」
音がしている方は階段が続いた上にある神社の方からだった。
「……」
どうしよう…。
行こうか行くまいか…。
でもなんの音か気になるし…。
後、木が並んで影になってるし、涼しそうだった。
意を決して、私は階段を登り始めた。
やっぱり、影になってるから普通の道より涼しい。
ちょっと休んでから帰ろうかな。
最後の段を登って達成感を感じる。
「ふー、この階段のところに座って一休みしよ」
最後の段に腰をおろして町の景色を眺める。
「こんなキレイに見れる場所なんてあったんだ…」
少し感動。
「は~、気持ちいい…」
吹き抜ける風を感じながら目をつむった。
あー、ずっとここにいてもいいかもしれない…。
そう思っていると、チリンとうしろから鈴の音がした。
あ、そうだった。
私この音の正体を確かめるためにここまで登って来たんだった。
目をパッと開いて振り向く。
するとそこには…驚いたことに、人がいた。
なんか白い着物を着て、狐のお面を頭に付けてる…少年。
見たことない子だ。