蓮華〜流レルママニ〜

人として



そんなこんなで、いつも通り考え事をしていると、退屈な学校の授業もそろそろ終わりを告げる頃だった。

六限目。最後の授業は道徳。
小学生かよ、と頭では思いながらも少しだけ耳を傾けた。


「え〜。今日は、人権問題について学んでいこうと思います」


人権か…


「人権とは〜人が人として生きる上で自由な主張・生活、その他いろいろな事を侵される事のない基本的な権利の事であり〜」


この格差社会でよく言うよ。まぁ、人権について説くアンタに非があるわけじゃないけど。
偉そうな事言う奴に限って、満たされた生活を送ってんだろ。その実、貧困に苦しむ人々を見てみぬフリだ。

所詮、人間は偽善者なんだよ。

例えば、ニュースで誰かが死にました。という放送を見て、可哀想だと嘆きはするけれど、次の明るいニュースではもう忘れてる。

可哀想だという気持ちは本当だとしても、本気で悲しんでない証拠だ。

世界には、今日食べる物すらない飢えた子ども達がたくさんいる。その事を悲しく思えば募金の少しはするかもしれない。だけど、そこで終わり。少し助けた気になり自己満足するんだ。

偽善の始まりだ。

結局は、自分の私利私欲の為に、ブランド物が欲しいとか、車が欲しいとか贅沢の限りを尽くす。

今日もどこかで飢えて死んでいく子ども達を本気で悲しんではいない。
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