蓮華〜流レルママニ〜
だけど、
それからというもの、バスケの練習中や、朝寝坊による登校中に軽く走っただけでさえ、頻繁に激しい動悸に襲われるようになった。
さすがにおかしいと思い、再度病院へ。
長い診察の結果、険しい表情の医者から出た言葉は、「親御さんを呼んで下さい」という、何ともありきたりな台詞で、俺を最高潮に不安にさせるには十分だった。
母親と医者の2人を残し、俺は診察室の外に出された。
何で当の本人が診察結果を聞けないんだよ。とは思いながらも内心怖かった。
それでも…
俺は…
ドアにピタリと身を寄せ耳を澄ませた。
小さな声がボソボソと聴こえる。
「息子さんは、心臓を患っています。後天性のもので、発見が遅すぎました。最善を尽くしますが、生き長らえたとしても以て後4年でしょう…」
貼り付けた耳はドアから離れずにいた。
耳を疑うとか、驚くとかそんな生温い言葉では言い表せない。
この世の終わりだ。
現実には、尽きるのは己の命一つ。
だけど、世界が終わるも命が尽きるも同じだ。変わらない。少なくとも、その時はそう感じた。
今15歳だから、後4年て事は19だ。
成人するまで生きられない…
俺は…
大人になれない…