蓮華〜流レルママニ〜
傷み
「え〜。じゃあ天海君はこの事について、どう思うかな?」
!?
また…昔の事を思い出してたか…
「天海君!?」
黒板の方に目をやると、『いじめについて』と大きく書かれており、その横には「人権」と書かれた本を持つ女性、手嶋先生がいた。
…まだ授業中だったか…
「天海君は、いじめについてどう考えますか?」
いじめか…
「無くならないものだと思います」
少し困り顔の手嶋先生。
「う〜ん。じゃあ、無くす為には、どうすればいいかな?」
……
「…人には、教えられなければ出来ない事と、そうでない事があります」
「どういう事かな…?」
「人を傷つける事です。これは、誰かに習ってもいないのに、犯してしまいます。逆に、人を傷つけてはいけないという事は、教えられないと気付きません。痛みを知らないからです。自分が傷つくという事を経験し、初めて過ちだと理解するんだと思います」
「…いじめは無くならないのかな?」
「人が人である以上、なくならないと思います。ひとりでも強く在る心が無ければ…」
「蓮〜。何言ってんだよお前〜」
クラスの誰かが野次を飛ばす。