蓮華〜流レルママニ〜

「じゃあ〜、他の人にも聞いてみようかな?」

手嶋先生も、俺の発言を止めた。


仕方ない…

悪だという事を否定しなければ、こうなる。誰もこんな答えは望んでいないから。


「いじめは、いけない事だと思います。このクラスで、もしも見つけた時には勇気を出して止めたいと思います」

次いで発言したのは、女子の学級委員。

…これが、皆が望む答えだろう…


オマエら、本当に自分を犠牲にしてでも止めれんのか…?

キレイ事言ってたって、いざとなったら自分を守るんだろう…

本質が変わらなければ、人はまた同じ事を繰り返す…


このクラスにいる奴らは、俺の事を知らない…


その為に、地元から遠く離れた、この学校に来たんだ。

もちろん、俺の事を話すつもりもない。

また、同じ事になる。人は皆そうだ。どれも変わらない…



本日最後のチャイムが終わりを告げると、俺は一目散に学校を飛び出した。部活は今日も休むつもりだ。
高校に入学してからというもの、激しい動悸に襲われる事も少なくなり、体の調子もよくなった為、一応バスケは続けているが、最近は専ら放課後になると、すぐに千草の家に寄るのが日課だ。


千草といる時が一番気持ちが安らぐ。

俺にとって、優しい時間が流れる…


千草…


早く会いたい…

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