蓮華〜流レルママニ〜
…なんて、少し複雑な思いでいると、
朝のチャイムが鳴り響き、皆一斉に席に着いた。
それと同時に、教室のスライド式のドアが、ピシャッという音をたて勢いよく開いた。
チャイムと同時って…廊下で待ち構えてたの…?
「みんなっ!おはよーうっ!!」
という大きな挨拶と共に担任の先生と思われる男の人が入って来た。
「皆さんっ、Aクラス進学おめでとうっ!!私は!担任の平松 学という!これから一年間宜しく頼むなっ!!」
テンション高っ…
てか声、野太っ!!!
今にも『麒麟です』…て言いそう。
皆、突然の事に呆気にとられている。
私の席とは反対の廊下側に座る蓮も、視線だけこちらに流すと、ため息をつくような素振りを見せた。
空気の読めない川島…じゃない…新担任はさらに続ける。
「いやぁ、流石に皆い〜い顔をしているなっ!!先生は、早く皆に会いたくて教室の外でチャイムが鳴るのを待ち構えてたんだぞっ」
…待ち構えてたんだ…
失笑と溜め息が重なり、ざわつき出すクラスの空気を、更に一瞬にして凍らせる言葉を言い放つ。
「先生はこのクラスの担任であると同時に、美術の教師でもある」
び・じゅ・つ…??
静まり返る教室。皆、一様に「その声で美術かよ」というような顔をしている。
すると、
「ハッハッハ!!さすがに嘘だ!!美術って柄じゃないよなっ!?本当は、音楽の先生だ」
……
ヤバい…この教師、
超空気読めない…
先行き不安だ〜。