蓮華〜流レルママニ〜
ふぅ。やっと昼休みだ…
朝から、秋川…じゃなくて…平松先生の野太カンタービレのせいで、頭がガンガンする。
「葵…さん?」
不意に隣りの席の女の子が話しかけてきた。
確か名前は…
春菜 由真(はるな ゆま)…だっけ?
「初めまして葵さん。隣りの席同士、これから宜しくお願いします、仲良くしてね?」
礼儀正しい挨拶。やっぱりAクラスだから?他のクラスとはひと味違うみたい。
「こちらこそ、よろしくね〜っ!春菜さん」
満面の笑みで返す。
「あっ。由真でいいよ。名前で呼んだ方がすぐ仲良くなれそうだし……私も千草ちゃんって呼んでいいかな?」
この遠慮がちな物腰といい、初々しい感じ。や〜っぱりAクラスはいいね!上品そうな人ばかり!
私も、この環境の中で、女らしくなって気品漂うオトナの女性になれるといいなぁ。
「全然平気だよ!千草って呼び捨てでも!…じゃあ、私も由真って呼ばせてもらうね!」
「ハイ、よろしく。私、どっちも名前みたいで結構大変な事あるんだ〜」
「そう言われれば、そうだよねぇ〜」
「名前を聞かれて、『春菜です』って言うと『名字は?』って返されて…」
「アハハ。春菜 由真だもんね〜。でも私も似たような事あるよ〜!葵 千草だし」
「千草…ちゃんって長くてキレイな髪してるよね。腰まであるなんてスゴいね」
「ありがとう。これね〜、成人するまで、切らない!って決めてるんだ」
そう言って手櫛を通しながら、フワリとなびかせる。
「…成人するまで?…どうして?」
「…あっ!それは〜内緒〜アハハ〜」
「え〜!?気になる〜」
良かった。何か親しみやすそうで、仲良くやっていけそう。
そんな初顔合わせを、和気あいあいとしながら嬉しく感じていた。