蓮華〜流レルママニ〜


それから、暫しの沈黙の後、少し囁き気味に由真が問いかけてきた。

「…千草、さっき……れ…天海君と話してたよね?…もしかして知り合いなの!?」


え!?

「あ〜、うん、まぁ…ね」

蓮にさっき止められたからなぁ。仲がいいとこ見せるなって。でも、意味わかんないし、…ま、いっか。

「…千草ちゃん、Aクラス初めてなのに、何で知り合いなの!?」


…そっか。
蓮が言う意味、少しわかってきた…かも。


「蓮と私は、家が近くて幼なじみだから…」

「へ〜!そうなんだぁ!じゃあ中学まで一緒だったんだ!?」

「う、うん。まあ…ね…」

由真は目を大きく見開き、キラキラと輝かせている。
…それにしても、何でそんな事聞いてくるんだろ…?

「由真の方こそ、蓮の事知ってるの?」

何げなく、そう質問すると由真は慌てふためき、顔を真っ赤にした。

「し、知ってるって、そんな大層なものじゃないよ!れ…天海君とは、2年間Aクラスで一緒なだけだし!私が一方的に知ってるだけで、まだ一度も、は、話した事ないしっ!ていうか、天海君が女子と話してるところ見た事なかったから!話しかけない方がいいのかなって…!だから、千草ちゃんと話してるのを見て、ビックリしちゃって…」

急に声のトーンが変わり口数も増え、身振りも大きくなる。

あれ?
これって…

「由真〜。もしかして…蓮の事、好きなの〜?」

身を乗り出し、顔を覗き込む。

「えっ?あっ、いやっ…そんな事…」

さらに顔は紅潮し、髪で隠すように俯く。

好きなんだね…
蓮の事…


蓮…わかってきたよ。
仲のいいとこ見せるなって理由…。


もう…人を傷つけたくないんだね…
そして…それによって傷つきたくもない…

気持ちに応えてあげられないなら、始めから優しくしないっていう蓮の気持ち、ちょっと私にもわかるよ…

私たちが仲良くしてると、皆にとっては蓮の意外な一面を見せる事になるから…

そういう事なんだね…蓮…
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