蓮華〜流レルママニ〜
「う〜ん、何か熱くて辛いものが食べたくなってきた〜。いっぱい汗を掻くとダイエットにもなるしね〜」
エアコンのガンガンに効いた、この部屋では汗一つ掻くことはない。
「でしょでしょ〜。お願ぁ〜い、何か作ってぇ、沙耶お姉チャ〜ン」
こんな風に頼み事をする時は、友達から姉になる。そして甘える事が出来るのも妹の特権だよね。
「はぁ〜。流奈ちゃん相変わらずウマいね〜、お願いの仕方が」
お手上げです、と言わんばかりの顔で渋々と立ち上がる。
「今日は渚姉ちゃんが、いないからね。私が何か作るよ!」
渚姉ちゃんとは、私たち三姉妹の一番上で、家事全てをこなすスーパー働きマン だ。居ないと普段のありがたみを痛感するね。
いいともが終わり、白いオジサンが出てくる頃、いい匂いが部屋中に立ち込めてきた。
「流奈ちゃ〜ん、出来たよ〜。」
そう言って、既に盛りつけ済みの料理を両手に持ってくる。
「姉ちゃん特製の『沙耶だけにさやえんどう入りのキムチチャーハン』だよ〜」
満面の笑みで寒いダジャレのスパイス。さすがに沙耶チャンです。
「うわぁ、美味しそう〜。沙耶チャンやれば出来たんだねぃ」
美味しいそうに湯気の立ち込めるチャーハンを見つめながら、舌包みする。
「う…、引っかかる言い方だけど…いつも渚姉ちゃんに任せっきりだからね〜」
確かに…
渚お姉チャンのおかげで、私なんて料理の一つもした事がない。
そんな感謝の気持ちも、目の前のモノにすぐさま消し飛び、パクリと一口。
美味し〜い!
ウマ辛〜い!
二人で仲良くペロリと平らげました。
そんな、
夏休みに入って一週目の葉月家のある1日―