蓮華〜流レルママニ〜
『私…もしかしたら…入んないかもしれないですよ?』
少し怯えた様子の女の子。
『…その時は、無理にでも中に突っ込むよ』
男の子の表情は、こちらからは背を向けている為、伺い知れない。
『え〜怖いですぅ』
今にも泣きそうな凄く分かりやすい反応。
「…流奈ちゃんゴメン。私、恥ずかしくてもう聞けない…」
その顔は茹でダコのように、耳まで真っ赤だ。
いや…
誰も盗み聞きを推奨してないってば…
と、思いながらも私は続行…
『…じゃあ、今度の日曜日で…いいですか?』
『オッケィ!気合い入れて行くよ!』
不意に、視界に微かな動きが目に止まる。
ん?
カップルの座る席から、二つ離れた席に、私たちより露骨に怪しい女の子2人組が…!?
…一人はかなり長い 黒髪で、もう一人は短いポニーテール。
何やら、コソコソしている雰囲気…
うわぁ…
双眼鏡って…
あなた達は探偵ですか?
『大丈夫だって!この辺で一番怖いお化け屋敷って言っても大した事ないから!』
『うん…』
『入ってすぐに、ぶつかってきたり、物が落ちてきたりするけど、当たらない人もいるしさ』
『はい…』
『俺が手を握りしめてるから!』
なぁ〜んだ…
お化け屋敷か…
少しガッカリした自分に恥ずかしくなり、ポリポリと頭を掻いた。
でも目の前には、より強者がいる…
「チョット!そこの耳を塞いでる奥さん!?…沙耶チャンって…もう終わったよ」
その言葉に、手を離すと、
「ど、どうだった?もっと過激な事言ってた?」
人の話には敏感だなんて、女のサガだねぇ〜。
「それはそれは、凄かったよ!高校生の私には話せないぐらいに…!!」
沙耶チャンはウブで面白い。
それこそ、高校生の私が言うのもなんだけどねぇ〜。
そろそろ部屋の掃除も終わっただろうし、帰りますかぁ〜。