蓮華〜流レルママニ〜
3年前
―15歳、夏。―
天明中学3年4組で過ごした、あの頃。
私にとって、毎日が苦痛だった。
それは、蓮の痛みを知っていたから。
その苦しみを…
この年の体育祭。
リレーでアンカーを務めた蓮がゴール出来ずに倒れた事は周知の事実で、全校生徒の知る由となる。
だけど、その原因を知る者は、この時の3年4組のみ。
それは、蓮にとって予想外の事で、親友一人に話しただけのつもりが、クラス中に広まってしまったのである。これは、ある種の裏切りとも言っていい行為だ。
私に直接話さなかったのは、幼なじみであり、蓮にとって特別な存在だと思ってくれてたからだろう…
…だって…私だって同じだから…
それから、日を重ねる事に孤独になっていく蓮を見た。
心を閉ざしていく蓮を見た。
いつも明るく、何をやってもソツなくこなし、皆の人気者だった蓮が変わっていく様を見た。
…このままでは…
…ダメだ…
完全なる…闇が来る…
光りになれるのは、私しかいない!
そう…はっきりと感じた…