蓮華〜流レルママニ〜


「付き合ってないんだ…じゃあ、天海クンが他の誰かと付き合っても平気?…」


!!…

他の誰かと…?

……

それは…


「千草がもし平気だって言うんなら、幼なじみとしてしか見てないって事になるけど、もしそうじゃないなら…恋愛意識があるって…ことじゃない?」


!?

ドクン…

…ドクン…ドクン…

何かが私の体中を
『流れ』駆け巡る。

ドクッ…ドクッドクッドクッ。


…この言葉は…前に神名に言われた事がある。その時は、何とも思わなかった。
でも今…
私の心を揺らした理由は、目の前にいるのが恐らく蓮のことを好きだという子で、蓮に彼女が出来たら…っていう事を容易に想像させた…からかもしれない。


私…ちょっと…


イヤかも…


「千草…私ね、天海クン…いや…蓮クンの事……好きなの…」

またしても急に顔を赤らめると、小さな声で呟く。
だけどその視線は私をハッキリと捉え、決意を表しているかのように見えた。


由真からすれば、もしかしたら私は蓮の事を『恋愛感情』として好きかもしれないと思っている筈なのに…
この言葉は…

ある意味では
『宣戦布告』だ。

勿論、そんな風に捉える私も…既に…

あの頃とは何かが違ってきている…
のかもしれない。



その日の放課後―。


「千草、今日帰りにオマエん家寄るから!」

「えっっ!?」

帰り支度をする私に、蓮が、唐突に声をかけてくる。

「…何そんな驚いてんだよ。今朝、BUMPのCDを借りに行くからって約束しただろ?」


「…あ、…うん…」

「じゃあ、俺部活あるからまたな」



ドキン…


ドキン…ドキン…ドキン


ちょっと!…

何ドギマギしてんのよっ、私はっ!!

由真にあんな事言われたからって、
意識するなんてバカみたい…!


相手はあの蓮なのに!

蓮なのに…
< 62 / 98 >

この作品をシェア

pagetop