蓮華〜流レルママニ〜
「お、遅かったね」
時刻は8時をまわっていた。
「あぁ、新入部員も入ったし、色々あって」
「そう…」
妙に意識してしまう…
いつもと何ら変わりはないのに。
「あ、そうだ!CD借りに来たんだよね?」
CDが並ぶ棚から、一枚を取り出す。
私たちは二人ともBUMPが大好き。飾らない真っ直ぐな詩が心に染みる。
「サンキュー!これ聴きたかったんだよ」
と言いつつ、すぐさまウォークマンを鞄から取り出しセットする。蓮が使うこれは、去年の誕生日に私がプレゼントしたものだ。
私は、誕生日という記念日を凄く大事にしていて、知人には毎年必ずプレゼントをあげてる。
耳に付けたイヤホンから、微かに音が漏れる。
「蓮…」
私の呼びかけに無反応。どうやら聞こえないみたい…
「蓮…私ね…」
いつもと違う私の雰囲気も蓮には察する事はできない…
「私…蓮の事が…好き!」
高鳴る鼓動も蓮には聞こえない。
聞こえないと分かってて、言ってる…
「蓮…私たちは…」
不意に、あの時の事を思い出す…
……
…