蓮華〜流レルママニ〜
違和感
桜もだいぶ散ってきて、心地良い陽気から、少しずつ暑さを感じはじめる今日この頃。
いつもと変わらない朝。だけど私の心中は穏やかじゃない。
いつもと同じ顔ぶれ。神名を先頭に、凛音が次いで走り、その後を私がゆったりと進む。
そしていつもと同じように、急かされては他の学生に追い抜かれていく。
私はマイペースがモットー。
人生はゆっくりと歩まなきゃ損だ。
走ったって急いだって、時の流れは変わらない。つまづいて転ぶより、焦らず正確に歩む方がいい。
失敗が無ければ後悔もない。前だけを向く事が一番いい生き方。
過去を顧みる事は、今を満足していない証。先にしか、未来にしか光は射さない。
分かり易く言えば、記憶を辿るとは目を閉じ暗闇を作り出すことで、先を見るとは目を開け前を見て光りを得ること。
…って、
こんな考え事ばかりしてると蓮みたいだな。
あ、蓮…!
私の横を通り過ぎ、追い越していくと、
「また遅刻するぞ」
と、背を向けたまま言った。
今日は頭を叩かない…。
今日は顔を向けない…。
昨日の事が、私たちを少しだけ変えた。
朝、駅で一緒になった時も、妙によそよそしく目を合わせなかった。
これが意識するという事…?
恋愛感情を持つっていう事なの…?
なら、要らない!
今まで通りがいい…
この時の私には、まだ気づけないでいた。
蓮の本当の思いを…。