蓮華〜流レルママニ〜

存在感



心地よい風が流れたかと思うと同時に、私を呼ぶ声に目を覚ました。

「千草、大丈夫か…?」

目を開けるとそこには、椅子に腰掛け心配そうな顔をした蓮の姿があった。

「来てくれたんだ…」

ベッドに横になりながら蓮を見る光景は 、とても保健室だとは思えない。

「朝一からいきなり教室を出て行ったら、心配もするよ」


「…気づいてたんだ…」

そう返す言葉にクスッと微笑むと、

「俺は見てないようで、ちゃんと見てるんだって」


…そっか。
ちゃんと気づいてくれてたんだ…

何か安心した。
昨日の事も、何もなかったかのような感じだし…

意識し過ぎてたのは、私だけか〜

「何ニヤついてんだよ?」

「えっ!?いや…何でもないっ」


結局…体調を崩したのも只の風邪だったみたいで、次の日にはすっかり良くなった。


時は流れ―、
4月も終わり、5月も半ばにさしかかる頃、一つの疑問が生まれる…


蓮編 其ノ弐へ
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