蓮華〜流レルママニ〜


俺はベッドの横に胡座をかいて座った。


起こさないように静かに…


座ると、目線の高さに千草の顔が重なり、一瞬ドキリとした。

…その油断しきった表情に…


手を伸ばせば触れられるぐらいの距離。


一定のリズムで桜模様の布団が上下に動く。




ドクン…

血が…活発に流れだしたのを感じる…

ドクン…ドクンドクン


いつも明るく元気な千草、最近は体調不良によって、その顔に少し影はさすものの、

今…
目の前には普段は見る事の出来ない無垢な顔と…無防備な姿…


男の血が騒ぐのか…?


それともチグサだから…?


外から吹き込む風に流されるように、


顔をソッと近づける…


『いつかのお返し…』


あの時…俺は、
寝ているようで、
静かに起きてたんだからな…


そんな…

冷静に言い訳を頭に過ぎらせながら…

その距離は近づく…


寝息が俺の髪を揺らす…


……


ドスンッ!!


!?


千草の眠るベッドが置かれる方の壁から物音が響き、静寂を破った。


千尋〜!!
何やってんだアイツ…

その部屋の振動に、千草の目が静かに開く。


「…れ…ん…?」
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