蓮華〜流レルママニ〜
「……」
千草の口から言い放たれた言葉…
俺の事を好きだっていう…その内容よりも千草の表情や、声の質から…
いつもとは違う、この場を支配する張り詰めた空気に…
俺は呑み込まれそうになっていた。
千草が俺を好きだって事は、接していればわかる…。
自分でそう感じる事を、おこがましいなんて思う訳もない。
俺も千草の事は好きだし、それは千草自身も分かってることだろう。
二人の距離を見ればわかる。
でも…
『幼なじみ』だから…
なんてフレーズがいつも…まとわりつき…二人の距離を一定のそれから近づけない。
千草が敢えて、口にした言葉。
その訳…
…それが、何を意味するか…
俺にも、何となく理解できるからこそ…
今、この場は静寂に包まれてるんだ。
俺は…
何て返せばいい…?
何を言えばいい…?
千草…
そんな瞳で俺を見るなよ…