蓮華〜流レルママニ〜
「随分と、派手なカッコだな」
明らかに気合いの入ったそれに、探りの言葉をいれる。
「まぁね。デートだったからさ〜」
斜めに被られた帽子を手に取り、ニカッと微笑む。
やっぱりそうか…
「いつの間に……それにしては帰り早くない…?」
「う〜ん…何かさぁ、彼女怒って途中で帰っちゃって…」
苦虫を潰したような顔で答える。
「…何かしたの?」
「…まぁ…したと言えばしたような…でも何もやましい事ないし…」
答えになってない、それに対し続けざまに質問しようする俺を止めると、
「…千尋に聞かれると、アイツうるさいからさ、俺の部屋に来てよ」
まぁそれもそうだ、と妙に納得して、二階へと上がる陽輝の後ろを付いていった。
「蓮兄ちゃんが、俺の部屋に来るのなんて、いつ以来だろーな?」
そう言うと陽輝は、部屋に入るなり部屋着のジャージに着替え始めた。
着慣れない恰好に、よっぽど違和感があったんだろうか…。
「…そうだな…ここが千草の部屋から陽輝の部屋へと替わってからは、殆ど来てなかったな」
西側に当たる小窓を見つめると…
不意に懐かしさが込み上げてきた。