蓮華〜流レルママニ〜
「まぁ、ガキの頃はまだしも、今となっては、こんな狭い部屋で遊ぶってのも何だしね」
着替え終えると陽輝は、手帳らしき物を、棚の引き出しから取り出す。
「何、それ?」
不思議に思う俺に笑顔を向けながら、手帳に挟まれていた一枚の写真を見せてきた。
「…誰?」
その写真には、
笑顔でピースサインを差し出す陽輝の姿と、
その肩に寄り添うように頭を預けて写る女の子の姿があった…
「俺の、か・の・じょ!! 名前は、未央って言うんだ、可愛いっしょー?」
「うん…まぁ…、!?…この子…ウチの学園?」
桜華の制服を着ているから、それは疑いようのない事実なんだけど…
「そうそう!桜華だよ、桜華!名門校であり、お嬢様学校!」
まぁ、そうだけど…
目を輝かせ興奮する陽輝に、落ちつくようにと肩を抑え込む。
「…陽輝、この子じゃなくて、桜華だからイイ訳?」
「…別に…そういうんじゃないけど…イメージいいし…」
はぁ…。
それじゃ駄目だろ…
俺は、写真に映る女の子を彼女だという陽輝に対し、少し不安になりながらも問いかけた。
「この子ってさ、陽輝の彼女なんだろ?」
「えっ!?…もも、もちろん!」
不意の質問に たじろぐ陽輝。
「…いつから?」
「…えと…。一週間…いや…、一カ月前…からかな?」
雲行きの怪しい顔になってきた…
「嘘だろ?」
「えっっ!?」
ウソだな…これは…
陽輝は昔から、嘘を付く時、決まって目を合わせないから、すぐに分かる。
「…何でそんな、つまんない嘘つくんだよ?」
俺は別に怒る訳でもなく、あくまでも冷静に尋ねた。
すると、観念した様子で、
「いや、実際に、この未央って子の事、気になってるんだよ…でも、なかなか進展しないし、ウソでも、こんな風に言ってたら、いつかホントになるかな〜って…」
そんな、ことわざじゃねぇんだから…
「蓮兄ちゃん…、相手に想いを伝えるのって、…どうすればいいのかなぁ?」
……!?