real world
「おい!友香!待てって!」



俺は何をしているんだろう。


自分でもわからない。


あいつはなにをしたいんだ?


気がついたら友香の手首を掴んで引き止めていた。



「友香!」



馬鹿だな。俺は何を言うつもりなんだ?でも…ほっとけなかったんだ。



「友香!」


「放せ…!さわるな!」


「放さない。」


「さわるな!」



放せるわけがない。さっき花音に下手な嘘ついて下を向いて走っていた。


こいつはいつも泣く時、下を向く。


俺が気付かないと思ったか。



「放せ…!」


友香は俺を睨みつけた。


目が涙を極限まで貯めていた。



「お前は何をしたいんだよっ!誕生日プレゼント、お前が用意していないわけないだろ!?」



俺は彼女が持っている紙袋を彼女の腕ごと掴みあげる。


それでもなお、彼女は泣こうとはしない。俺を睨んであがく。



「うるさい…!放せ!なんでもない!」


「じゃあなんで泣いてんだよ。」


「泣いてない!」



人通りの少ない路地に友香の悲鳴に近い声が響き渡った。



「泣いているだろ…」

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