real world
逃げる。


走って、ただひたすら逃げる。


それでも死体は私を追いかけた。


どこに逃げても、どこに隠れてもそれは私の目の前に現れる。


そのうち、私の周りを人間が囲みだした。


彼らはみんな、私を笑っている。


蔑んでいる。


自分だけ、幸せそうに笑っている。




『−オマエ、イラナイ。−』


『−オマエ、ヒツヨウナイモノ。−』


『−ハヤク、イナクナレ。−』


『−イツマデ、イキテルツモリダ?−』




いつまで?


知らない。私だって…


こんな世界にいつまでも居たくない。



誰か出して。ここから出して。



助けてよ…



私を囲む人間は私を鎖で繋げていく。足枷をして、動けないようにする。



逃げられない。



どうして、みんな私を笑うの?


そんなにお金がほしいの?


世間の評判や名声が大切なの?


誰かを踏み台にして殺してまで、名誉や地位が欲しいの?


自分が幸せなら、それでいいの?





答えてよ。


どうして?


ねぇ…







真っ暗だよ。





誰か、


助けて。




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