real world

私は家に帰らず本社の社長室に乗り込み父にすべてを話した上で問いただした。



「父様…知っていたのか？」


『死んだ事は、知っていたけど、』



殺された事は、知らなかった。何かが頭のすみでひっかかった。



「おかしい…」


『ん？』


「だって、そうだろ？直人が言うには、惨殺死体だそうじゃん。なのに、報道も警察もだんまりしているなんて、しかも、会社の責任者である父様に死因が報告されていないなんて、おかしすぎる。」



そう、よく考えたらおかしい。


いろいろな事が、


うまくでき過ぎている。

知ってる。私、こういう時って、どうからくりが動いているのか、



『権力…かぁ。』



そう。権力。



『警察に噛めるって事は政府の要人だねぇ…大臣の誰かとか。』



もう、いやだ。


吐き気がする。


欲望が、渦巻いて。


花音のからだを飲み込んでしまう。




そうなる前に、


誰かあの娘を助けてあげて。


お願い。神様。





助けてあげて。