real world
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「恋奈!!」


「に…いさま?私、」



恋奈が目覚めたと聞いたのは、昨日の深夜だ。


ただ、目覚めた恋奈は記憶を失くしていたと言う。


時間が経つにつれて戻ってきているらしいが。



「カイト、カイトは?」

「恋奈!目が覚めたのか?俺、覚えてるか?」


「貴方が、カイト?」


「恋奈…」



恋奈は海斗を見てきょとんとしていた。


名前は覚えているのに、顔や自分との関わりを忘れているようだ。


『もう家族に関する事はあらかた思い出しているようです。ただそれ以外が…。なにぶん、昏睡期間が長かったですから、なんとも…』



目覚めただけでも十分だ。気が抜けて、待合席でぼーっとする。


あ、何か今花音に似た人通ったな。いま、無性に彼女に会いたいなんて思ってしまった。


帰りに花音のアパートよっていこうか…。



『―ピーンポーン―彩野さん、岬さん、河野さん、診察室にどうぞ。』



あやの…彩野!?



「悠樹君!?」



そこには、今さっき会いたいと願った愛しい人がいた。



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