real world
診察室前の待合室に飛び込む。


よかった。まだいた。



「悠樹君!?今度はどうしたの?」



僕の尋常じゃない様子に気付いて、駆け寄って来た。


いけない。


不安にさせるかも。


でもうまい言葉が見つからない。



「…僕、診察につきそうよ。」



それだけ、やっと言えた。これでごり押しするしかない。



「え…どうして?」


「どうしても。頼むから、1人で診察受けないで。これからも。」


「…わかった。何かあるんだね。私もちょっと、おかしいと思ってたし、悠樹君がいてくれると、心強いかも。」



そう言って、花音は僕に笑いかけた。


2人で長椅子に座る。


待合室は狭くて、花音との距離がいつもより近くに感じた。



「先生って、どんな人?」


「んー、普通の精神科医だよ。よくお話し聞いてくれる。名前はね、十羽優(とわ ゆう)って言って、優しくて、かっこいいんだよ。」


「へぇ…そう…」



なんかちょっと、ジェラシーが…



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