real world
「悠樹君?どうかした?すごい顔になってるけど…」



はっ、いけない。


つい眉間にしわが。



「何でもない。大丈夫。」


『彩野さーん。診察室に…そちらは?』


「えっと、その…」



そうか、ここは心療内科。みだりに関係のない人を入れる訳にはいかないって事か。


なら、嘘でもつくか。



「わたくし、友香お嬢様の執事です。お嬢様に付き添うようにとの御命令を…」


「え!?あ、あぁはい。そうなんです。この方とは古い仲ですし…」



看護師はうさんくさそうに僕を見る。


すると中から声がかかった。



「良いよ。入れてあげて。聞きたい事があるみたいだし。」



男とも女ともつかない声だった。



『わかりました。十羽先生。』



看護師は僕たちを診察室にまねきいれた。


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