real world
パリンと何かが割れた気がした。
何だかわからないけど、胸の奥底で何かが割れた気がしたんだ。
「悠樹…?どうかしたの?珍しいわね、あなたがお皿割るなんて。」
「え…あ!すみません!愛さん。」
「何かあったの?」
「いえ…何でもありません。」
どうやら本当に皿を割ってしまっていたようだ。本当、自分にしては珍しい失敗だ。
今日、通いの家政婦が急に来れなくなったから僕が代わりに夕食を作っているのだ。
「悠樹?あなた変よ?本当にどうしたの?」
「大丈夫です。何でもありませんから。」
そう、何でもないはずなんだ。
本当に。
でもなんだろう。
この、奥底で静かに壊れてしまいそうな感覚。
どこかで、感じたような気がする。
どこだっけ?
「いったっ・・・!」