real world
「悠樹、あなたは部屋で休んでいなさい。後は私が何とかするわ。」
割れた皿の破片で指を切った僕は愛さんにそう怒られた。
だからって愛さんに料理を何とかしてもらうわけにはいかない。
包丁なんか持ったことのない筋金入りのお嬢様だ。
頼み込んで出前をとらせてもらった。
~♪♯~
部屋に戻ると携帯が鳴っている。
表示には『上杉 友香』
こんな時間に何の用だろう。
「もしもし?どうかしたの?」
『何かが、割れた気がした・・・。』
「え・・・?」
『花音が電話に出ない。様子が、おかしいんだ!』
何かが・・・
割れた気がした。
奥底で、静かに。
どこで感じた?
答えなんて、もう決まっていた。
「花音・・・!」
間に合え。
まだ、壊れないで。
僕は走り出した。