real world
嘘だと思った。


誰かにそう言って欲しかった。



「花音ちゃん…!」



大家さんは腰を抜かして動けなかった。



「花音…?」



生きてるのか、死んでいるのか。


それすらわからない。




―ガサッ…―




乾いた紙を踏んだ感覚がした。


拾い上げて見てみると、薬の入っている紙袋で、中身の薬は半分程なくなっていた。


薬の名前は―…



「睡眠薬…」



どうして?


そんなに、生きているのが辛かった?


そんなに、僕を、僕達を信じられなかった?




死なないで。



戻って来て。



死なせてなんてやるもんか。


自分勝手でも良い。


なんて罵られようと構わない。



だから、




「花音!花音!…っ死ぬな!花音!!」




生きるのがつらいなら、僕が一緒に生きてあげる。



< 177 / 330 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop