real world
次に目が覚めたら、白い天井が見えた。
空はぼんやりと明るくなってきていた。もうすぐ、日の出なのだろうか。
体はだるくて持ち上げることはできない。
酸素マスクもはずしたくてもはずせない。
でも、このだるさも、不自由さも、ちょっと嬉しかった。
この体が、私が、
生きている、証拠だったから。
「帰って・・・来れた。よかったぁ。」
本当に、よかった。
「花音?」
「へ・・・?」
「へ?って・・・お、起きたのか?」
一瞬、誰が話しかけてきているのかわからなかった。
声の主は窓側のベットサイドから。
ゆっくりゆっくりわたしの顔を覗き込んだ。
迷子の子供みたいな顔をして。
「起きたよ。悠樹君。」
「本当に?」
「うん・・・。ごめん。-ありがとう。」
「じゃあ、”おかえり。”」
「”ただいま。”」
見つけた。ヒカリ。
見つけた。帰る場所。