real world
十羽先生は教えてくれた。
『まずは、私を信じてください。』
初めて、病院に行ったとき、彼女はそう言った。
なんて胡散臭いんだろうと、
思った。
『君は、真実を知っているね?』
『君の真実を、私にすこし分けてくれる?』
『一緒に戦おう。こう見えて、格闘経験者だし、元陸上部。』
『私を、信じて?』
「”あの人”の事、十羽先生に聞いた。」
話しちゃったのか・・・。もう、巻き込むしかないのかな。
「そっか。じゃあ、私が知っている真実も、聞いちゃった?」
悠樹君は私を、悲しそうに見た。そんなに私、卑屈な顔をしているのかな?
「ううん。十羽先生は、”あの人”の名前しか教えてくれてない。あとは、本人が話してくれるのを、待てって言われた。僕は、ここまで来たらあとには引かない覚悟はできてる。・・・一緒に、戦おう?」
「真実、真実は悲しいものかもしれないよ?」
とても悲しくて、投げ出したくなるものかもしれない。
十羽先生が受け止められても、彼はどうだろうか。
消えてしまったり、しないだろうか。