real world
*01* レクイエム
「死亡推定時刻は午後2前後。死因は…おそらく絞殺。ブツはなく指紋も頭髪も足跡も証拠になるような物は一切なし。手際が良すぎる。」
友香の声が遠くに聞こえる。
私達が聞いたあの時の悲鳴は、十羽先生を発見した看護師によるものだった。
十羽先生は死んでいた。
発見現場は空いていた病室。
十羽先生は縛り上げられてカーテンレールから吊り下げられていたらしい。
「どうやって調べたんだよそんなの。」
「昔ちょっと世話してやった刑事から聞き出した。――あらゆる手を使って。」
友香、悠樹君、直人は私を心配して集まって来ていた。
笑わなきゃ。
心配かけられない。
笑わなきゃ。
『友香嬢―。ちょっとよろしいですかー?』
「なんだ?またボコられてぇのか?」
『いーえ。これはおそらく友香嬢達にあてたものだと思うんですけど?どーいう事か説明してもらえませんかねぇ…?』
「あ?なんだよコレ…?」
私はそれを見た。
誰がやったかなんて、簡単にわかった。
そっから先は、覚えてない。