real world


「―…っう!」



小さな悲鳴にハッとして見てみると、悠樹が友香になぐられて吹っ飛んでいた。


いつの間にか看護師やら医者っぽい人が友香を押さえ込む為に集まっていた。



「おかしいだろ!?どうして、どうして1年も何も言わずに!!」


「落ち着けっつってんだろ!!いい加減にしろ!」


「っ!」


「言ったところで、何になる?お前は自分を責めるのは分かり切ってるし権力者の怖さは権力者たるお前が1番知ってるだろう!?話したら消されるかもしれない、親友が自分を責めちまう、証拠もねぇ!そんな板挟みで、誰が話せるかよ!?僕でも話せねぇよ…!!」


悠樹は、そこまで一気にまくし立てて呼吸を整えた。


こんなあいつ、見た事ない。



「冷静になれ上杉。お前の親友は、人がどう思うかを考えないで行動してしまう人間なのか?」



違う。


そう。


いつだって、


自分より相手が大事。


友達が大事。


それが花音だ。



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