real world
*02*血筋
「-ありがとうございました。」
「本当に退院するの?私としてはお勧めできないんだけどな・・・。」
「いつまでも寝ているわけにはいきませんから。」
「君は、頑張り過ぎるフシがあるからなぁ…」
私は医師の反対を押切って無理矢理退院することにした。
十羽先生の葬儀には参加したが、とてもお別れまで耐えられるはずもなかった。
「花音。車が(ちょっと派手だけど)着いたから、行こう。」
「え…。ポルシェ…の、赤…?嘘でしょ…?」
十羽先生のことから強引に現実を見せられた。
目の前にはピカピカの赤のポルシェ。…私はどこの成金なんだろう?
「ごめん。これ、愛さんのなんだ。愛さん、ああ見えてスピード狂なんだよな…」
「えーと、てことは、運転手さんは…」
嫌な予感半分、期待半分。
「…愛さんですね。」
うわぁ。的中したぁ…!