real world
彩野が倒れたのはついおとといの事。


僕は彼女の真っ青な顔を見て事の重大さを知った。


だから、結構反省しているつもりなのだ。


本人は覚えてなくても。

「友香、どうしちゃったんだろうね。おじさんからの呼び出しだろうし。」


「さぁ…」


だいたい見当は付くけど、うかつに口にはできない。


「そういえば直人、どうしたの?まぁたおばさんとぶつかったの?」


「ん…いや、そうじゃないけど。」


「じゃあ何?」


「…恋煩い…?」


何となくからかってやった。


「こ…?え、そんなわけな…」


わかりやす~。


「図星なんだね。直人。誰?誰なの?」


そんなに気になるの?
なんで…ってどうでもいいか。



「お前だよ。花音。」



は…?ここでぇ!?



「ん…何が?」


『またか…可哀相だよな直人。』


『これで通算何回目かなぁ…よく耐えてるよあいつ。』



なにそれ。何回もやってるってことか。女子の妬みとかないのか?



『やっぱこの学校で一番の美人は彩野さんだしね。敵わないもん。』


『だよね。勉強も1位だし。完璧。』



…あぁそうか。そういうこと。
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