real world
ゆるさない。
ゆるせない。
ゆるすもんか。
「僕は、母さんの実家の東郷の血を引いているんだっ…絶対、僕は…僕はっ…!」
結木の血なんか。
花音を追い詰めた奴の血なんか、引いてないんだ。
そうでも思わないと、
つらくて、
生きられそうにないよ…
「―『生きるのがつらいなら、“私”が一緒に生きてあげる。』―」
聞き覚えのあるセリフと同時にフワリと花音に抱き締められた。
僕の顔を見てほほ笑みかけてくる。
「悠樹君が言ってくれたあの言葉。とても嬉しかったから。ね、だから、悠樹君は『生きるのがつらいから、私と一緒に生きてくれる?』」
生きるのが、つらい。
とてもとても痛い。
そうか。
花音。
君もずっと、
こんな感覚を抱えていたんだ。
生きるのが、つらい。
でも、
でも。
つらいと感じるからこそ。
僕らは“人間”なんだ。
だから、
生きよう。
僕の大切な人達のために。
そして、
今こうして、僕を包んでくれる彼女のために。
「―『花音と一緒に、生きるよ。』―」