real world
*01*もうすぐ秋
『―これより、聖華高等学校の始業式を…―』
長い夏休みが終わった。
私はアパートにもどりいつも通りの日常をおくっている。
「なぁ花音。どうしよう。」
「なに直人?宿題終わらなかったの?」
「あー…うんまぁ。じゃなくって!」
「なんだよ早く言えよ。」
直人のあやふやな態度にイラついて友香がせっついた。直人がため息をつく。
「友香さ、この夏も成長しなかったな。」
「遺言はそれだけか?エセアイドル。」
「なっ…エセじゃねぇよ!どっちかっつったら悠樹のほうがエセだろ!?」
「話がわき道にそれちゃってない?」
悠樹君が直人の手首を骨が軋まんばかりに握ったので、直人は苦痛と抗議をこめた目線私にをなげかけた。
「それで?なんなの?」
「詳しいことは後で俺のアパートで言うよ。悠樹は今日仕事は?」
「深夜に一個だけ。トーク番組の収録だって。」
「てめぇは仕事ねぇのか?」
「夏休み頑張ったからね。今日はオフ。」