real world
悠樹君はあれから私から離れないようになった。
妹さんのようにならないためかもしれない。
私達はたぶん、
お互いがお互いに寄生している感じだ。
どちらかがいなくなると、自分を維持できずに壊れてしまう。
そう表現してもおかしくないくらいに。
『宿題なんてやってきて当たり前なんだ。ちゃんと受験に向けての勉強してたんだろーな?他のやつらに…―』
教室での担任の長い話を受け流しながら外の音に耳を傾ける。
暑苦しい蝉の声。
だけどそのたくさんの中に、もう鳴くことができなくなる蝉の声も混じってる。
そうか。
もう、秋になるのか。
『あーやーのー!先生の話聞いてたか!?』
「あー、聞いてなかったっけ?」
『彩野、聞き返してどうする。』
「いやなんとなく?」
『まぁいい。彩野。秋の一大イベントといえば?』
「舞踏祭のことですか?」
『そうだ。今年もうちのクラスが学年トップだから予算は1番多いぞ。』
そういえば、そんな行事あったなぁ。
舞踏祭は去年大変だったからなぁ…
パートナー見つけるのとか特に。