real world
宿題はものの20分でおわった。
さすが全国1位&2位。
「あ、もう昼休み終わるね。友香…ホントにどうしたんだろ?」
「ちょっとやな感じだな。上杉が来ないとなんでか何かあったんじゃないかって思うんだよなぁ。」
まったくだ。
あいつはいつも人に何も言わずに何でも解決しようとするのが癖だ。
『ほら席つけ。本礼鳴るぞ。』
5時間目の英語教師が入ってきた。
授業が始まる。
はずだった。
『―失礼。授業前にすいませんね。』
見知らぬスーツ野郎が入ってきた。
やばい。
とっさに花音をかばえる位置に立つ。
男は30代中盤で、人並みの体格。
一瞬でこちらを見つけると、
『―これはこれは。あまり歓迎されていないようですね。とくに、そちらのナイトお2人には。―』
「お前、誰だ?」
『―ふむ。そちらがおなじみの直人君かな。で、君が前田のご子息。それから、哀れな元凶のお嬢さん。―』
そして、男の背後から出てきたスーツ野郎が何かを持ってるのに気が付いた。
おいおい…嘘だろっ!?
「と…友香っ!!」
まぎれもなく、上杉 友香だった。