real world
教室に帰れたのは5限目からだ。


理由は明確。


親父がだだをこねたからだ。


いったいあいつは何歳なんだっ。





―…『ねぇ、友香。頼むよぉ…父さん何でもするからさぁ。ねっ?』


こいつほんっとうに世界的大企業の総帥か…?


『嫌なものは嫌なんだ。あきらめてくれ。』


『…………。』


『瞳をうるうるさせてもダメ。ていうか間違ってるだろ。対処法としても父親としても。』―…


こんなやり取りがついさっきまで続いていた。



「疲れた…」


「何が?」


「直っ…人!?びっくりさせるなよ。」


「なぁ花音…と前田知らねぇ?」


そういえば2人がいない。


「いや?知らねぇけど?」


『前田君と彩野さんなら早退するって。あの2人、怪しいね。できてるの?』


『彩野と悠樹が…?なぁんとなくあり得そうだな。あいつら波長合ってそうだし。』


『あー。そうかも。』



そんな無責任な。探さなきゃ…


―キーンコーンカーンコーン―


マジで?


先生が来ちゃった。


直人と顔を見合わせる。

どうしよう。


ここからうごけない。
< 24 / 330 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop