real world
*03*ほんとうにほんとうの真実
『―提案はごくシンプル。“ファイル”をこちらに渡すかオトモダチと恋人を死に導くか。―』
男は楽しくて仕方がないという顔をしてほほ笑んでいる。
結木 神楽。
聞いたことがある。
結木 相楽の弟にして一族からは厄介者扱いされている。
そして彼の息子が次期当主と決まっている。
僕は出来うる限りの知恵をふりしぼる。
友香を掴んでいるスーツ男は武器は持ってなさそうだが距離がある。
神楽を刺激すれば何をするか分からない。
「なぜ僕の命をねらう。『ファイル』が手に入らず結木の直系が生きていたらそんなに不都合なのか?」
『―君には何にも聞いてないよ。そこの小娘に聞いているんだ。―』
話も通じない、か。
どうするか。
何かないか。
なにか…!
―ドシュ!―
『いっ!!?????』
ドシュ…?い…?
「ったくよぉ。いてぇじゃねぇか!マジで意識とんじまってひびったよ。」
『―貴様…!意識が!?―』
「あー、まぁ車に乗せられた時からあったな。ふりだよふり。このおっさん意外と弱いな。」
友香は僕と目を合わせるとニッと笑った。
してやったり。の笑顔。まったく、こっちはビックリすぎて何にも反応出来ないっての。
「抵抗してもよかったんだけどな。せっかく祖父さまのくれたチャンスだ。棒に振るなよ。」