real world
「学校側はこの事件を不問にするだろうな。SAクラス全員に箝口令(かんこうれい)がしかれているし。」
「校内に良家の子女を人質にして侵入されたなんて、恥ずかしくて言えねぇもんな。」
「まぁ、友香でよかったんじゃない?」
「よくない!」
SAクラスのみんなは一時自宅待機となった。
とはいっても友香は家には帰れない。
というか4人全員危ない。
ということで、私達は愛さんの手配したマンションの部屋にいる。
なんと愛さんの実家は不動産を扱っているようだ。
「これからどうする?一応隠れはしたけど、いつまで持つか分かんないよ。」
「花音。『ファイル』本当にあるのか?」
「う、うん。暗号化されていて、解読に時間がかかったけど、ほら。」
『Y・DNAファイル』
そう書かれた黒いメモリースティックを鞄から取り出す。
こんなちっぽけなモノに、5人の命が亡くなったなんて信じられない。