real world


「学校側はこの事件を不問にするだろうな。SAクラス全員に箝口令(かんこうれい)がしかれているし。」


「校内に良家の子女を人質にして侵入されたなんて、恥ずかしくて言えねぇもんな。」


「まぁ、友香でよかったんじゃない?」


「よくない!」



SAクラスのみんなは一時自宅待機となった。


とはいっても友香は家には帰れない。


というか4人全員危ない。


ということで、私達は愛さんの手配したマンションの部屋にいる。


なんと愛さんの実家は不動産を扱っているようだ。



「これからどうする?一応隠れはしたけど、いつまで持つか分かんないよ。」


「花音。『ファイル』本当にあるのか?」


「う、うん。暗号化されていて、解読に時間がかかったけど、ほら。」




『Y・DNAファイル』




そう書かれた黒いメモリースティックを鞄から取り出す。


こんなちっぽけなモノに、5人の命が亡くなったなんて信じられない。



< 244 / 330 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop