real world
「―分かるだろ?感じるだろ?…―」
僕は隠れ家のマンションの屋上で世界に向かって歌った。
思うがままに歌詞を紙に書きなぐったのはもう朝日が出ようとしていた6時ぐらい。
むしょうに歌いたくなって、屋上に出たのが7時ぐらい。
みんなまだ寝ている。
「―…この現実世界を。」
もう3回ぐらいは歌っていると思う。
たまにはこんなのもいい。
部屋にこもっていると、嫌な事とか心配な事や不安で押し潰されそうになる。
「―フワフワ漂う僕らは…―」
急に別の声が混じった。
心地いいソプラノ。
花音だ。
「起きたんだ、花音。」
「うん。早くに目が覚めちゃって。」
「直人と友香は?というか直人仕事大丈夫なのかな…」
「直人と友香は朝ご飯作ってる。面白いんだよ。漫才みてるみたいで。」
「上杉…料理なんてした事ないんだろうな…」
今日1日安全を祈らないといけないかもな…