real world
「直人がいるから、命に関わるような危険物質は作らないと思うけど?」
「あ、そうなんだ。」
気のせいだろうか。
口調が素っ気ない気がする。
それに顔色がよくない。
幽霊みたいに真っ白だ。
「怖い夢でも見たの?」
「怖い夢?どうして?」
まずい。
ちょっと前の状況に逆戻りしている。
洗練された作り笑顔。
「…また自分を責めているんだな。」
「何の話ー?」
話をぼかそうとするフワフワした口調。
僕はイラついた。
花音と生きる。
そう約束した僕の心は、
何一つ曇っていないのに。
「花音は、ずるい。」
「…え?」
ずるいよ。
「花音の価値は、花音だけが決めていいもんじゃない!そうだろ!?周りの人間はみんな花音を必要としているのに、花音は自分には生きる資格がないと思ってる。
それってすごくずるいんだ!
キミの価値はキミだけが決めていいもんじゃないんだよ!
いい加減気付けよ!
キミは 彩野 花音 だろ!?」