real world
「…ごめんな。」
言った瞬間、後悔した。
何してんだろう私。
ごめんなんて言って、
自分が楽になりたいだけだろう?
私は花音たちを呼びに屋上へ向かうエレベーターを待つ間、猛省していた。
「誰のせいでもない。そうなんだ。誰のせいでもないんだ。」
自分に言い聞かせなくちゃいけない。
うっかり気を抜くとまた真っ暗な気持ちになる。
私のせい。
私のせい。
私がもっと早くに気付けば。
違う。
花音が悪いんだ。
あの娘が…
「…違う!!」
自分の考えに思わず声を上げて否定してしまった。
「…違うんだ。」
私はなんて、
醜いんだろう。
気付けばエレベーターは来ていた。
ポッカリ口を開けて待っている。獲物を捕食しようとしているかのごとく。
つかの間の恐怖心。
「あたしは、あたしなんだ。」
他の誰のものでもない、
あたしはあたしだけのもの。
そう自分に言い聞かせて、エレベーターの中へ私は足を踏み入れた。