real world
なりふり構わず追いかけた。
「花音!まて!花音!」
花音はロケ地の公園の遊歩道をフラフラ歩いていた。
肌は白く、
目は虚ろ。
細い手足に、
キレイな顔立ち。
間違いなく花音。
「おい、花音!?お前なんでこんなとこにいる!?」
そう言って、花音の腕をつかんだ。
ここは、県外の公園。
電車で1時間はかかる。
歩いて来る距離じゃない。
「あ…直人。」
「なんでこんなとこにいる?人がどれだけ心配下かわかってんのか!?」
「おおげさだなあ。ちょっと散歩してただけだよ。」
力なく笑う彼女は、死人かと思うほど蒼白な顔をしていて、
長い髪はほつれて、
幽霊さえをも思わせる。
「…花音?お前…どこに向かってるんだ?」
「さぁ…どこだろう。わかんない。でも、なにかを探しているの。ねぇ、なんだっけ?」
そう言って、花音はオレの腕からすり抜けていった。