real world
心霊現象として、ループというものがあるらしい。
もし人間にその現象がおきるのならば、私は確実にそのループにとらわれていると思う。
ある時から、時間の流れにおいていかれて進まなくなってしまうという、ループに。
コツ、コツ、コツ、カツン。
「・・・疲れたなぁ。」
自分の学校の屋上で、彩野花音はそう言ってため息をついた。ぼーっとしてフェンス越しに”外の世界”を眺める。自分がいる”世界”と相反する違う世界。手の届かない”幸せな世界”。私はフェンスに手をかけた。
ガシャン・・・ガシャガシャガシャ・・・ガッシャン!
視界を隔てていたフェンスはいとも簡単に乗り越えることができて、拍子抜けした。
学校指定のローファーをぬいで、なんとなく屋上のふちに座ってみる。そう、私はもとからここから落ちるつもりで来た。足の下には底なしの暗闇が広がっている。
―私はループから抜け出せない迷子の子供。―
―神様はこのループを終わらせてくれない。―
―何度も何度も願ったのに、終わらせてくださいって願ったのに、―
―神様は終わらせてくれない。―
私は身体を空中に任せようとした。ゆっくりゆっくりと体が傾くのを感じる。
「ごめんね、悠樹くん。約束、守れそうにないや・・・」
もうすぐ、もうすぐで世界が終わる。そう感じた。なのに
バン! ダダダダダ・・・ガッシャン!!
ものすごい勢いでフェンスに誰かが突進して来た。うそだと思った。その突進して来た、ぜぇぜぇと息を切らしている人物は、言った。
いつもとかわらない、あの優しい声で。
「 花音 」
神様はまだ終わらせてくれる気はないらしい。
このループという名の、理不尽で残酷なサイクルを
終わらせてくれる気はないらしい。
もし人間にその現象がおきるのならば、私は確実にそのループにとらわれていると思う。
ある時から、時間の流れにおいていかれて進まなくなってしまうという、ループに。
コツ、コツ、コツ、カツン。
「・・・疲れたなぁ。」
自分の学校の屋上で、彩野花音はそう言ってため息をついた。ぼーっとしてフェンス越しに”外の世界”を眺める。自分がいる”世界”と相反する違う世界。手の届かない”幸せな世界”。私はフェンスに手をかけた。
ガシャン・・・ガシャガシャガシャ・・・ガッシャン!
視界を隔てていたフェンスはいとも簡単に乗り越えることができて、拍子抜けした。
学校指定のローファーをぬいで、なんとなく屋上のふちに座ってみる。そう、私はもとからここから落ちるつもりで来た。足の下には底なしの暗闇が広がっている。
―私はループから抜け出せない迷子の子供。―
―神様はこのループを終わらせてくれない。―
―何度も何度も願ったのに、終わらせてくださいって願ったのに、―
―神様は終わらせてくれない。―
私は身体を空中に任せようとした。ゆっくりゆっくりと体が傾くのを感じる。
「ごめんね、悠樹くん。約束、守れそうにないや・・・」
もうすぐ、もうすぐで世界が終わる。そう感じた。なのに
バン! ダダダダダ・・・ガッシャン!!
ものすごい勢いでフェンスに誰かが突進して来た。うそだと思った。その突進して来た、ぜぇぜぇと息を切らしている人物は、言った。
いつもとかわらない、あの優しい声で。
「 花音 」
神様はまだ終わらせてくれる気はないらしい。
このループという名の、理不尽で残酷なサイクルを
終わらせてくれる気はないらしい。