real world
耐えられない。
今度こそ。
だから、
相手を縛ってしまう前に。
こんな怖い気持ちから逃げたくて。
「約束、忘れてた?」
悠樹君は哀しそうに眉根をよせていった。
「そんなことっ…ないよ。」
「『生きるのがつらいなら、僕が一緒に生きてあげる。』」
まぎれもない、
約束。
「あれ、訂正したいんだ。」
「…え?」
「『生きるのがつらいなら、僕が一緒に生きてあげる。
たとえ僕が死体となっても、
花音が生きる限り、
僕は花音と一緒にいる。』」
そのまま抱き締められて、
私は、
やっと、
1年前の事件から、
解放された気がしたんだ。