real world
笑っていた。
あいつの腕の中で。
あの公園から1番近いのは、学校だと地図を見て初めて気が付いた。
なんとなく、
幼馴染みの直感で、
ここだと思った。
「うー…完璧に失恋か…」
「今更かよ。」
「うるせぇ。あーチクショウ。やっぱ、俺じゃダメなんだよな…」
「花音があいつを選んだ時点で、そうなんだろうよ。」
そうかもしれない。
花音が、あいつを選んだ、あの時から、
俺の方に振り向く事なんてありえなかった。
「ま、とりあえずこのハッピーエンドを見守るか。」
「そういやお前、仕事は?」
「タケルが変わりに行った。社長が手を回してくれてたんだ。花音が見つかるまで、早く上がれるように。」
「なんだ。あいつの親父さんも花音びいきか?」
「そっくりだよな。あの性格に弱いのは。」
「人の事言えねぇだろてめぇ。」
沈みかけた太陽が、
彼らを照らす。
「なぁ…。」
「なんだ?」
「なんか、下が騒がしいような…」
嫌な予感。
おそるおそる、屋上のドアから下をのぞく。
「「げぇぇ!教師!!」」